この度、エルピーペイ合同会社の公式サイトを公開いたしました。私たちが提供するのは、「動的システム(WordPress等)を一切使わない」スタティックサイト制作です。本記事では、なぜその選択をしたのか、その背景にある考え方を説明します。
スタティックサイトとは何か
Webサイトは大きく「動的サイト」と「静的(スタティック)サイト」の2種類に分けられます。
動的サイトは、ユーザーがページにアクセスするたびにサーバー上でプログラムが実行され、データベースから情報を取り出してHTMLを生成します。WordPressはこの仕組みで動いており、柔軟な機能を実現できる反面、サーバーへの負荷・セキュリティリスク・保守の手間が伴います。
スタティックサイトは、あらかじめ生成されたHTML・CSS・JavaScriptファイルをそのまま配信します。サーバー側でのプログラム実行がないため、表示が高速で、攻撃の入り口となるデータベースや管理画面が存在しません。
なぜ今、スタティックサイトが再評価されているのか
かつてスタティックサイトは「更新しにくい」「機能が限られる」という印象がありました。しかし、2020年代に入ってからその評価は大きく変わっています。背景にあるのは技術の進化です。
Astro・Next.js・Nuxtなどの「静的サイトジェネレーター(SSG)」の登場により、ビルド時にAPIやCMSからデータを取得してHTMLを生成する仕組みが確立されました。これにより「スタティックだけど、コンテンツは自由に更新できる」という構成が一般的になったのです。
また、Cloudflare Pages・Vercel・Netlifyなどの「スタティックホスティングサービス」が普及し、GitHubに変更をプッシュするだけで自動デプロイされる環境が整いました。かつてはFTPでのファイルアップロードが一般的でしたが、今やそのような手間は不要です。
WordPressが日本で普及しすぎた副作用
日本国内のWebサイトのうち約83%がWordPressで構築されているとされています(W3Techs 2026年データ)。これは世界平均の約2倍の数字です。WordPressが普及した背景には、管理画面から誰でも更新できるという利便性と、制作会社にとってビジネスモデルと相性が良かったという事情があります。
しかし普及しすぎたことで、別の問題が生まれています。WordPressはその普及率ゆえに、世界中のサイバー攻撃者のターゲットになりやすい構造を持っています。プラグインの脆弱性を突いた攻撃、管理画面へのブルートフォース攻撃など、WordPressを狙う手法は年々高度化・自動化しています。
また、「ホームページを持ってはいるが、更新のたびにエラーが出て困っている」「プラグインを更新したらサイトが崩れた」という声は珍しくありません。これは、本来「更新を簡単にする」ために導入したシステムが、逆に運用の障壁になっているという皮肉な状況です。
スタティックサイトが特に向いているのはどんなサイトか
スタティックサイトがすべてのケースに最適というわけではありません。向き・不向きを理解した上で選択することが大切です。
| スタティックが向いているサイト | 動的サイトが必要なケース |
|---|---|
| コーポレートサイト・会社紹介 | 会員ログイン・マイページ機能 |
| サービス・製品紹介ページ(LP) | リアルタイムの在庫管理が必要なEC |
| ブログ・メディアサイト(SSG+Headless CMS) | ユーザーごとにカスタマイズされるコンテンツ |
| ポートフォリオ・実績紹介 | リアルタイムチャット・通知機能 |
| ドキュメント・FAQ | 複雑な検索・フィルタリング機能 |
月に数回程度の情報更新で十分なコーポレートサイトや、ブログを運営したいが更新の管理は最小限にしたいという場合、スタティックサイト+Headless CMSの組み合わせは非常に有効な選択肢です。
SEOと表示速度について
「WordPressはSEOに強い」という認識は、今も根強くあります。確かにWordPress向けのSEOプラグイン(Yoast SEOなど)は機能が充実しています。しかし本質的なSEOの観点からは、表示速度・モバイル対応・セキュリティ(HTTPS)・構造化データが重要であり、これらはスタティックサイトでも十分に対応できます。
Googleが評価指標として重視するCore Web Vitals(LCP・CLS・FID)は、ページの読み込み速度や視覚的安定性を測るものです。余計なプラグインを持たないスタティックサイトは、これらの指標で高スコアを出しやすい構造を持っています。
実際に当サイト公開後、PageSpeed InsightsでPC版99点、モバイル版96点を計測しました(2026年1月末時点)。LCPは0.6秒、CLSは0.001以下。WordPressで以前運用していた類似コンテンツのサイトではPC版54点・モバイル版41点だったことと比較すると、スタティック構成の恩恵が数字として出ています。構造化データ(JSON-LD)もAstroのコンポーネントに直接記述しており、Yoast SEOプラグインなしで同等以上の設定が可能でした。
このブログについて
このブログでは、スタティックサイト・Web制作技術・セキュリティ・SEOといったテーマを中心に、実際の現場で役立つ情報を発信していきます。技術者向けの内容だけでなく、「何のためにその技術が必要なのか」「どういう場面で使うべきか」という視点も大切にして書いていく予定です。
ホームページの制作・運用に関心のある方、WordPressの保守に疲れてしまった方、これからサイトを立ち上げようとしている方などにとって、参考になる情報をお届けできれば幸いです。
「シンプルさ」が最強の武器になる
複雑なシステムを持つことが必ずしも良いサイトを意味するわけではありません。目的に合ったシンプルな構成を選ぶことが、長く安定して運用できるサイトの条件です。